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株式投資 高配当株分析

【高配当株分析】積水ハウス(1928)は今が買い時?14期連続増配予定の住宅業界最大手を徹底解説

配当利回り4.70%×14期連続増配予定×米国事業大幅拡大で注目される積水ハウス。2025年1月期決算は売上高4兆585億円(前期比30.6%増)、営業利益3,313億円(同22.3%増)と過去最高を更新し、MDC社買収による国際事業の大幅成長を実現した住宅業界のリーディングカンパニーを、最新決算を基に詳しく分析してみました。

積水ハウスの現在の投資魅力度

基本データ(2025年6月8日時点)

  • 株価: 3,065円
  • 配当利回り: 4.70%(2026年1月期予想144円)
  • 配当金: 144円予想(前年135円から9円増配)
  • 時価総額: 約2兆328億円
  • PER: 8.58倍、PBR: 1.01倍

投資家注目ポイント

14期連続増配予定(2013年度から2026年まで)
✅ **配当利回り4.70%**の高い配当収入
MDC社買収により全米5位のホームビルダーに
2026年1月期1Q決算:減益も通期予想は据え置き

1. 基本情報・プロフィール

企業概要

  • 銘柄コード: 1928
  • 企業名: 積水ハウス株式会社(Sekisui House Co., Ltd.)
  • 業種・セクター: 建設業(住宅・不動産)
  • 設立: 1960年8月1日
  • 従業員数: 約27,000名(連結)
  • 上場市場: 東証プライム市場
  • 決算月: 1月
  • 本社所在地: 大阪市北区
  • 資本金: 2,025億9,000万円

事業内容

戸建住宅事業を基盤に、賃貸住宅、分譲マンション、都市再開発、リフォーム、不動産フィー、国際事業まで幅広く展開。"「わが家」を世界一幸せな場所にする"というビジョン実現のため、日本で培った住宅建築技術とライフスタイル提案による高付加価値の提供等といった積水ハウステクノロジーの普及を進めている。

2. 配当関連指標(最重要項目)

配当実績と予想

積水ハウスは、2013年1月期より14期連続増配を継続予定であり、2025年1月期は135円(普通配当)を実現。2026年1月期は前期比9円増の144円を予想しています。

配当推移

年度配当金前年比配当性向特記事項
2012年20円--増配開始前
2013年28円+40%-1期目増配
2014年43円+54%-2期目増配
2015年50円+16%-3期目増配
2016年54円+8%-4期目増配
2017年64円+19%-5期目増配
2018年77円+20%-6期目増配
2019年79円+3%-7期目増配
2020年81円+3%-8期目増配
2021年84円+4%-9期目増配
2022年90円+7%-10期目増配
2023年110円+22%-11期目増配
2024年123円+12%-12期目増配
2025年実績135円+10%40.3%13期連続
2026年予想144円+7%40.3%14期連続予定

配当成長の驚異的な実績

13期連続増配の継続実績: 2013年1月期より13期連続増配を実現しており、2026年1月期の配当予想「1株あたり144円」が予想通りに実施されれば、14期連続増配を達成することになる。

配当成長倍率: 増配開始前の2012年1月期から2026年1月期までの14年間で、積水ハウスの年間配当額は「1株あたり20円」から「1株あたり144円」まで、7.2倍に増加している。

年平均成長率: 約14.7%の高い配当成長率を継続

配当方針

積水ハウスの配当政策に関する公式声明

基本方針(第6次中期経営計画:2023年度~2025年度)

当社は、株主価値の最大化を経営の重要課題として認識しており、第6次中期経営計画においては、中期的な平均配当性向を40%以上とする従来方針に加え、株主還元の更なる安定性向上を図るべく、1株当たり年間配当金の下限を110円とするとともに、機動的な自己株式取得の実施により株主価値の向上を図ってまいります。

配当政策の3つの柱

1️⃣ 配当性向の明確化

  • 中期的な平均配当性向を40%以上
  • 業績連動でありながら安定性を重視

2️⃣ 配当下限の設定

  • 1株当たり年間配当金の下限を110円
  • 第6次中期経営計画期間(2023年度~2025年度)における株主還元の更なる安定性向上策
  • 2022年度実績(110円)を下限として設定

3️⃣ 機動的な自己株式取得

  • 配当に加えた株主還元手段として活用
  • 株主価値向上の追加施策

増配に対する姿勢

バランスのとれた収益構成による利益成長に伴い、増配を継続しています。

  • 実績: 2013年1月期より14期連続増配継続中
  • 今後: 2026年1月期の業績予想を前期比で「増収・増益」としていることから、堅調な業績予想を背景に、今回の「増配」を決定

3. 財務分析(健全性チェック)

損益計算書の推移

2025年1月期の連結業績は売上高4兆585億円(前期比+30.6%)、営業利益3,313億円(前期比+22.3%)、経常利益3,016億円、純利益2,177億円と過去最高を更新。

主要財務指標

指標2025年1月期評価
ROE11.82%優良水準
ROA4.82%良好
自己資本比率40.8%MDC買収影響で低下
営業利益率8.16%安定水準
PER9.17倍割安水準
PBR1.08倍適正水準

5年間の業績推移

年度売上高(億円)営業利益(億円)純利益(億円)EPS(円)
2021年24,4691,8651,235182.3
2022年25,8952,3011,539227.4
2023年29,2882,6141,845276.6
2024年31,0722,7092,023309.3
2025年40,5853,3132,177336.0
2026年予想45,0003,6202,320357.9

フリーキャッシュフロー

営業活動によるCFが628億円、投資活動によるCFが-6,976億円(MDC買収影響)、フリーキャッシュフロー-6,348億円と、大型買収の影響が顕著に表れている。

最新決算状況(2026年1月期1Q)

2026年1月期第1四半期業績(2025年2月~4月)

  • 売上高: 8,940億円(前年同期比+15.1%)
  • 営業利益: 603億円(前年同期比-15.9%)
  • 経常利益: 468億円(前年同期比-34.1%)
  • 純利益: 334億円(前年同期比-33.8%)

減益要因の詳細分析

🌍 国際事業の利益率大幅悪化

  • 売上: 1,178億円→2,576億円(+118.6%)
  • 営業利益: 108億円→50億円(-53.8%)
  • 利益率: 9.2%→1.9%(7.3ポイント悪化)

主要因:

  1. 米国住宅市場環境: 住宅ローン金利が依然として高止まりしていることに加え、米国経済の先行き不透明感が高まった影響もあり、顧客の様子見姿勢が強まったことを受けインセンティブを増加
  2. のれん償却負担: MDC買収に伴うのれんの償却額等の計上により利益率が低下
  3. 金融コスト増加: 支払利息が48億円→91億円(+92%)に増加
  4. 為替影響: 前年の為替差益33億円から為替差損46億円へ転換(約80億円のマイナス影響)

事業別1Q業績

事業セグメント売上高前年比営業利益前年比
戸建住宅事業1,050億円+4.1%61億円+31.5%
賃貸・事業用建物事業1,236億円-4.0%149億円-17.6%
賃貸住宅管理事業1,795億円+4.4%197億円+25.8%
国際事業2,576億円+118.6%50億円-53.8%

ポジティブ要因:

  • 戸建住宅事業は増収増益を継続
  • ストック型の賃貸住宅管理事業は好調
  • 通期業績予想に変更なし

4. 事業分析

主力事業の収益構造(2025年1月期)

1. 戸建住宅事業(売上構成約12%)

  • 売上高: 4,790億円(前期比1.7%増)
  • 営業利益: 460億円(同12.2%増)
  • 特徴: 「life knit design(ライフニットデザイン)」の展開や、ZEHなどの高付加価値提案が好評

2. 賃貸住宅事業

  • 安定収益: 家賃収入による安定したストック収益
  • 成長戦略: 法人向け社宅・寮の需要拡大

3. 国際事業(新たな成長エンジン)

  • 売上高: 1兆2,785億円(同150.2%増)
  • 営業利益: 789億円(同61.4%増)
  • 戦略: MDC社買収により米国での事業展開エリアを16州に拡大し、2022年度の引渡戸数ベースで全米5位(年間約15,000戸)の規模を誇るホームビルダーグループを形成

2026年1月期業績予想

  • 売上高: 4兆5,000億円(前期比+10.9%)
  • 営業利益: 3,620億円(前期比+9.2%)
  • 営業利益率: 8.04%の安定水準維持

MDC社買収の戦略的意義

買収概要

  • 買収金額: 約49億ドル(約7,500億円)
  • 完了日: 2024年4月19日
  • 事業エリア: 16州34都市の広いエリア

戦略的効果

  1. 規模拡大: 米国戸建住宅供給戸数(22年度)は5347戸。MDC社買収後は22年度の引渡しベースで1万5067戸となり、米国における引渡戸数ランキングで5位のホームビルダーとなる
  2. 技術移植: 積水ハウステクノロジーの移植を実行するためのソリッドなプラットフォーム
  3. 早期目標達成: 海外市場における戸建住宅の供給目標(2025年度までに10,000戸)を早期に達成

5. リスク分析

主要リスク要因

財務リスク

  • 有利子負債急増: MDC買収により有利子負債が大幅増加
  • 自己資本比率低下: 52.3%→40.8%に低下
  • 為替リスク: 米国事業拡大に伴う為替変動影響

事業リスク

  • 住宅市場の循環性: 金利動向や経済情勢による住宅需要の変動
  • 人手不足: 建設業界全体の人材不足問題
  • 原材料価格変動: 木材・鉄鋼等の価格上昇圧力

米国事業リスク

  • 住宅ローン金利上昇: MDC社は住宅ローン金利の上昇の影響を受ける
  • 統合リスク: M&A後の組織統合とシナジー実現
  • 競合激化: 米国住宅市場での価格競争

1Q決算で明らかになった短期リスク

  • 利益率の急激な悪化: 国際事業の営業利益率が9.2%→1.9%に低下
  • のれん償却負担: 年間約180億円ののれん償却が利益を圧迫
  • 顧客の様子見姿勢: 米国経済の先行き不透明感により住宅購入が停滞
  • 金融コスト増加: MDC買収資金の調達に伴う支払利息が倍増

投資リスクの評価

  • 短期的: MDC買収の統合コストと財務負担、米国住宅市場の低迷
  • 中期的: 米国住宅市場の動向と金利環境、統合効果の実現時期
  • 長期的: 人口減少による国内市場縮小

6. 投資判断:3つの重要ポイントを踏まえた総合評価

🔍 重要検討事項1:MDC買収による短期的影響と中長期戦略

1Q決算で明らかになった課題

短期的な利益圧迫要因:

  • 国際事業の営業利益率が9.2%→1.9%に急激に悪化
  • のれん償却負担(年間約180億円)が本格化
  • 支払利息が48億円→91億円(+92%)に増加
  • 米国住宅市場の高金利環境による顧客の様子見姿勢

中長期的な戦略価値

成長ポテンシャルは健在:

  • 米国16州での事業展開基盤を確立
  • 年間1万5千戸供給体制の構築完了
  • 積水ハウステクノロジーの移植による差別化戦略
  • 海外市場1万戸目標を前倒しで達成

結論: 一時的な利益率低下は想定内であり、中長期的な成長戦略は順調に進行

重要検討事項2:業界トップクラスの配当成長実績

配当成長の驚異的な実績

2012年1月期から2026年1月期までの14年間で、積水ハウスの年間配当額は「1株あたり20円」から「1株あたり144円」まで、7.2倍に増加

配当の持続可能性

  • 配当性向: 40%程度の適正水準
  • 下限設定: 1株当あたり年間配当金の下限を110円
  • 業績連動: 安定した収益基盤に基づく配当政策

重要検討事項3:バリュエーションの魅力

割安な株価水準

  • PER 8.58倍: 成長性を考慮すると非常に割安
  • PBR 1.01倍: 資産価値とほぼ同水準で魅力的
  • 配当利回り4.70%: 高配当株として非常に魅力的

同業他社との比較

銘柄配当利回り連続増配期間PER特徴
積水ハウス4.70%14期予定8.58倍米国事業拡大
大和ハウス工業2.95%-11.9倍多角化経営
住友林業4.32%-6.7倍木造住宅・山林経営

積水ハウスは14期連続増配の実績で住宅業界をリードしています。

7. 投資戦略・まとめ

3つの重要ポイントを踏まえた評価

成長戦略:米国事業による飛躍的拡大

MDC社買収により米国戸建住宅事業は年間供給戸数1万5千戸のホームビルダーグループとなり、海外市場で1万戸の戸建住宅を供給する目標を前倒しで達成。国内市場の縮小を補って余りある成長エンジンを獲得。

配当成長:業界最高水準の増配実績

14期連続増配予定という驚異的な実績は、安定した事業基盤と株主還元への強いコミットメントを示している。配当額は14年で7.2倍に増加という成長性は他社を大きく上回る。

バリュエーション:非常に割安な投資機会

PER 8.58倍、配当利回り4.70%は、成長性と収益性を考慮すると非常に魅力的な水準。MDC買収による一時的な財務悪化と1Q減益を織り込んだ現在の株価は絶好の投資機会として評価できる。

最終投資判断:慎重な買い推奨(次回2Q決算での回復確認後に本格投資)

理由:

  1. 配当政策の継続性: 1Q減益にも関わらず14期連続増配予定を堅持、下限110円の保証
  2. 一時的な減益要因: MDC統合コストとのれん償却は想定内の範囲
  3. 通期予想の据え置き: 会社側は年間計画に自信を示している
  4. 国内事業の安定性: 戸建住宅事業は増収増益、ストック事業も好調
  5. 中長期成長戦略の進展: 米国事業基盤の構築は順調に進行
  6. 株価水準の魅力向上: 配当利回り4.70%、PER8.58倍の非常に割安な水準

1Q決算と株価下落を踏まえた慎重な投資スタンス:

  • 短期的: 利益回復は2Q決算(9月発表)での確認が重要
  • 中期的: 米国金利環境の改善とシナジー効果発現の進捗がカギ
  • 長期的: 国内安定×海外成長の事業モデル確立への期待
  • バリュエーション: 株価下落により投資魅力度が大幅に向上

推奨投資アプローチ:

  1. 小額での試し買い: 現在水準で少額投資開始
  2. 2Q決算待ち: 業績回復の兆候確認後に本格投資
  3. 段階的投資: 2,750円以下では積極的な追加投資を検討

投資時の注意点

次回2Q決算(2025年9月発表)への注目点

  • 業績回復の兆候: 営業利益率の改善傾向
  • 米国事業の進捗: 統合効果の実現状況
  • 通期予想の修正: 上方・下方修正の可能性
  • 配当予想の維持: 144円予想の継続可能性

1Q決算で明確になった短期課題

  • 大幅減益の継続可能性: 営業利益-15.9%、純利益-33.8%の影響
  • 米国事業の利益率低迷: 営業利益率9.2%→1.9%への急落
  • のれん償却の継続負担: 年間約180億円の利益圧迫要因
  • 金利環境の長期化: 米国住宅ローン金利の高止まり継続

従来からの構造的課題

  • 統合効果の実現には時間を要する可能性
  • 国内住宅市場の構造的縮小リスク
  • 為替変動による業績への影響

推奨投資プロファイル

最適な投資家

  • 安定配当を重視する中長期投資家
  • 連続増配銘柄でのインカムゲインを求める投資家
  • 米国不動産・住宅市場の成長期待投資家
  • 一時的な財務悪化を受け入れられる投資家

段階的投資戦略

  • 現在水準(3,065円):配当利回り4.70%で非常に魅力的
  • 絶好の買い場到達3,000円以下(配当利回り4.8%以上)
    • 現在水準から約2%の下落で到達可能
    • 14期連続増配銘柄として超魅力的な水準
  • 超魅力的水準:2,700円以下(配当利回り5.3%以上)

配当下限110円での投資戦略

下限配当での利回り4%達成には株価2,750円が必要

配当金額必要株価配当利回り現在株価からの下落率
110円(下限)2,750円4.0%-10.3%
110円(下限)2,444円4.5%-20.3%
110円(下限)2,200円5.0%-28.2%

リスク許容度別の投資戦略

保守的投資家向け

  • 推奨水準: 2,750円以下での投資
  • 理由: 最悪ケースでも利回り4%を確保
  • 安全性: 下限配当110円が保証されているため、業績悪化時でも一定の収益確保

積極的投資家向け

  • 現在でも投資妙味: 予想配当ベースで4.70%
  • 追加投資: 2,750円以下でのナンピン買い
  • 成長期待: 増配継続による配当成長も期待

投資スタンス

  • 投資期間:5年以上の中長期保有
  • 投資比率:ポートフォリオの3-7%(当面は控えめ)
  • 投資タイミング:小額での試し買い開始、2Q決算確認後に本格投資検討

株主優待情報

1,000株以上の保有で魚沼産コシヒカリ(新米)5kgが毎年10月下旬から11月初旬にかけて贈呈されます。高額投資が必要ですが、高品質なお米が楽しめる実用的な優待です。

株価水準について: 現在の株価3,065円は、MDC買収による一時的な財務負担と1Q減益を織り込んだ水準であり、配当利回り4.70%は14期連続増配銘柄として非常に魅力的な水準です。短期的な業績悪化はMDC統合過程の一時的な現象と捉え、中長期的な成長と配当成長を考慮すると魅力的な投資機会ですが、2Q決算での業績回復確認後により安心して投資できると判断します。

投資アプローチ: 現在水準での小額投資開始→2Q決算での回復確認→本格投資という段階的なアプローチを推奨。配当下限110円の保証により、最悪ケースでも2,750円以下なら利回り4%超を確保できる安心感があります。

1Q決算と株価下落を踏まえた投資戦略の修正:

  • 配当投資家: 減益にも関わらず増配方針を堅持、配当利回り4.70%は非常に魅力的だが2Q決算での業績確認も重要
  • 成長投資家: 米国事業の短期的な苦戦は想定内、中長期戦略に変更なし、回復時期の見極めがカギ
  • バリュー投資家: 一時的な減益とともに株価下落により絶好の投資機会、段階的な投資を推奨

積水ハウスは、短期的な業績変動を乗り越えて中長期的な成長を実現できる、質の高い高配当成長株として投資価値が極めて高い銘柄です。ただし、1Q大幅減益を踏まえ、2Q決算での業績回復確認を経てからの本格投資がより安全なアプローチといえるでしょう。


本記事は投資情報の提供を目的としており、投資勧誘ではありません。投資判断は自己責任でお願いします。最新の情報は会社の決算資料等でご確認ください。

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