配当利回り3.37%×15期連続最高益×3円増配で注目されるシーティーエス。2025年3月期は売上高118.21億円(前期比6.6%増)、営業利益30.77億円(同7.4%増)、経常利益31.62億円(同13.5%増)と増収増益を達成し、15期連続で過去最高益を更新する見通しとなった建設ICT分野のスペシャリストを、最新決算を基に詳しく分析してみました。
シーティーエスの現在の投資魅力度
基本データ(2025年7月5日時点)
- 株価: 832円
- 配当利回り: 3.37%(2026年3月期予想28円)
- 配当金: 28円予想(前年25円から3円増配)
- 時価総額: 約343億円
- PER: 14.3倍、PBR: 2.67倍
投資家注目ポイント
✅ 15期連続最高益予定(2026年3月期まで)
✅ 17期連続増収の安定成長
✅ **配当利回り3.37%**の安定収入
✅ **自己資本比率75.4%**の健全な財務基盤
基本情報・プロフィール
企業概要
- 銘柄コード: 4345
- 企業名: 株式会社シーティーエス(CTS Co.,Ltd.)
- 業種・セクター: サービス業(建設ICT専門)
- 設立: 1966年11月
- 従業員数: 約620名(2025年3月期)
- 上場市場: 東証プライム市場
- 決算月: 3月
- 本社所在地: 大阪府大阪市西区南堀江1-12-19
- 資本金: 10億7,476万円
事業内容
全国の建設現場の課題を、デジタルデータサービスと測量計測システムを中心に、身近なサポートで解決する建設ICT専門企業。建設現場向けICT専門。ITインフラのレンタル。測量計測機器やシステム機器が主力として、建設現場のDX化を支援しています。
主力サービスには、クラウドストレージサービスを中心に、クラウド映像/コミュニケーション/通信・ネットワーク/プリンティング等の各種建設業・建設現場向けサービスの提供と、これら各種サービスを統合した遠隔の現場支援サービス「サイトアシストパッケージ」があります。
配当関連指標(最重要項目)
配当実績と予想
同時に、今期の年間配当は前期比3円増の28円に増配する方針としたとして、シーティーエスは安定した増配基調を継続しています。
配当推移
年度 | 配当金 | 前年比 | 配当性向 |
---|---|---|---|
2020年 | 12円 | - | 41.7% |
2021年 | 14円 | +17% | 41.0% |
2022年 | 18円 | +29% | 44.1% |
2023年 | 22円 | +22% | 53.0% |
2024年 | 22.5円 | +2% | 51.3% |
2025年実績 | 25円 | +11% | 47.7% |
2026年予想 | 28円 | +12% | 約48% |
配当推移グラフ(2016-2026年予想)
• 2022年以降の増配加速(18円→28円予想)
• 年平均成長率約13%の安定成長
• 2025年決算で3円増配実現(25円→28円予想)
配当方針
同社は株主の利益還元を経営方針のひとつに定め、以下の基本方針を採用しています:
基本方針
- 第一: 積極的な事業展開により企業全体としての価値向上を目指す
- 第二: 企業活動により得た利益について、業績に連動した配当により還元を行う
配当施策の特徴
- 業績連動型配当: 安定配当ではなく、業績に連動する利益還元を基本方針とする
- 内部留保との両立: 経営基盤の強化と事業拡大に必要な内部留保の充実を考慮
- 財政状態連動: 当期純利益と決算期末の財政状態(株主資本・他人資本構成)に応じて配当性向・配当金額を算出
運用基準
- 特別損益等により当期純利益が大きく変動する年度は、その影響を考慮して配当額を決定
- 特別な要因により自己資本比率が大きく変動する年度は、その影響を考慮して配当性向を決定
財務分析(健全性チェック)
損益計算書の推移
2025年3月期の連結経常利益は前の期比13.5%増の31.6億円になり、26年3月期も前期比10.7%増の35億円に伸びを見込み、15期連続で過去最高益を更新する見通しとなっています。
2025年3月期の連結業績:
- 売上高: 118.21億円(前期比+6.6%)
- 営業利益: 30.77億円(前期比+7.4%)
- 経常利益: 31.62億円(前期比+13.5%)
- 純利益: 21.90億円(前期比+17.9%)
主要財務指標
指標 | 2025年3月期 | 評価 |
---|---|---|
ROE | 17.01% | 優良水準 |
ROA | 12.82% | 高水準 |
自己資本比率 | 75.4% | 非常に健全 |
営業利益率 | 26.03% | 極めて高水準 |
PER | 14.3倍 | 適正水準 |
PBR | 2.67倍 | やや高め |
17年間の業績推移(詳細データ)
年度 | 売上高(億円) | 営業利益(億円) | 純利益(億円) | EPS(円) | 営業利益率 | ROE |
---|---|---|---|---|---|---|
2010年 | 34.6 | 3.92 | 2.23 | 4.98 | 11.33% | 11.59% |
2015年 | 61.4 | 9.85 | 6.12 | 14.24 | 16.03% | 19.35% |
2020年 | 91.7 | 18.5 | 12.5 | 29.24 | 20.19% | 15.92% |
2021年 | 99.7 | 22.3 | 14.6 | 34.12 | 22.35% | 16.57% |
2022年 | 105.0 | 26.3 | 17.3 | 40.79 | 24.93% | 17.77% |
2023年 | 108.0 | 26.9 | 17.6 | 41.48 | 24.92% | 16.61% |
2024年 | 111.0 | 28.7 | 18.6 | 43.84 | 25.83% | 15.19% |
2025年 | 118.0 | 30.8 | 21.9 | 52.45 | 26.03% | 17.01% |
2026年予想 | 128.0 | 33.0 | 24.0 | 58.09 | 25.78% | 18.65% |
長期成長実績の分析
17年間(2010-2026年予想)の成長率
- 売上高: 34.6億円 → 128億円(3.7倍成長)
- 営業利益: 3.92億円 → 33億円(8.4倍成長)
- 純利益: 2.23億円 → 24億円(10.8倍成長)
- EPS: 4.98円 → 58.09円(11.7倍成長)
- 営業利益率: 11.33% → 25.78%(14.45ポイント改善)
業績推移グラフ(8年間の推移)
• 営業利益率の継続改善:18.46%→25.78%
• 国策i-Construction推進による安定成長基盤
• 建設ICT分野での圧倒的な収益性を実現
フリーキャッシュフロー
営業活動によるCF28.42億円、フリーキャッシュフロー3.95億円と、設備投資を差し引いても安定した現金創出力を保持しています。
事業分析
主力事業の収益構造
建設現場向けICT専門企業として、以下のサービスを提供:
1. クラウドストレージサービス(売上構成約40%)
- 事業内容: 建設現場のデータ管理・共有サービス
- 特徴: セキュアなクラウド環境での図面・書類管理
2. 測量・計測機器レンタル(売上構成約35%)
- 事業内容: GPS測量機器、ドローン、3Dレーザースキャナー等
- 特徴: 最新ICT建機対応の高精度機器
3. ITインフラシステム(売上構成約25%)
- 事業内容: 現場向け通信・ネットワークシステム
- 特徴: 遠隔現場支援「サイトアシストパッケージ」
2026年度業績予想
- 売上高: 128億円(前期比+8.3%)
- 営業利益: 33億円(前期比+7.2%)
- 経常利益: 35億円(前期比+10.7%)
- 営業利益率: 25.8%の高水準維持
中期経営戦略
安定成長戦略の柱
- 建設DX市場への対応: 国土交通省のi-Construction推進政策
- サブスクリプション化: レンタルからサービス提供への転換
- 全国展開: 地方建設現場へのサービス浸透
リスク分析
主要リスク要因
- 建設投資依存: 公共工事や民間設備投資動向に業績が左右される可能性
- 技術変化: ICT技術の急速な進歩による既存機器の陳腐化リスク
- 競合激化: 大手IT企業の建設分野参入による競争激化
- 業績連動配当: 業績悪化時には配当減額のリスク(ただし15期連続最高益の実績あり)
財務上のリスク
- 有利子負債: 実質的に無借金経営で財務リスクは極めて限定的
- 設備投資: 新機器導入による先行投資負担
市場リスク
- 景気敏感性: 建設投資サイクルとの連動性
- 人手不足: 建設業界の構造的問題が長期化した場合の影響
投資判断:3つの重要ポイントを踏まえた総合評価
重要検討事項1:驚異的な収益性と財務安定性
現状
- 営業利益率26.03%の極めて高い収益体質
- 自己資本比率75.4%の健全な財務基盤
- ROE17.01%、ROA12.82%の優良指標
投資家への影響 結論: 建設ICT分野での圧倒的な競争優位性
- 配当持続性の極めて高い安全性
- 経済変動への強い耐性
- 成長投資余力の十分性
重要検討事項2:15期連続最高益の継続力
2026年度目標
- 売上高:128億円(+8.3%)
- 営業利益:33億円(+7.2%)
- 経常利益:35億円(+10.7%)
中長期成長戦略
- i-Construction政策: 国土交通省主導のICT建設推進
- 建設業DX需要: 労働力不足解決への安定的需要
- サービス化転換: レンタルから付加価値サービスへの進化
重要検討事項3:業績連動型配当の継続期待
配当の魅力
- 配当利回り3.37%の適正水準
- 3円増配(25円→28円)の業績成長に連動した配当成長
- 業績連動型ながら15期連続最高益により実質的な増配継続
業績連動型配当の特徴
- 安定配当ではなく、業績に連動した配当政策
- 当期純利益と財政状態に応じた配当性向・配当金額の決定
- 15期連続最高益の実績により、実質的には安定増配を実現
配当成長実績
- 2020年12円→2026年予想28円(2.3倍)
- 年平均成長率約15%の高成長(業績成長に連動)
高配当投資家向け投資戦略
推奨投資スタイル
**中長期保有(5-10年以上)**がおすすめ
- 15期連続最高益による安定インカム確保
- 建設業界のDX化トレンドによる安定成長期待
- 極めて高い財務安定性による安心感
投資タイミング戦略
適正な投資機会を待つことを推奨
- 現在水準(832円): 配当利回り3.37%でやや高値圏
- 第一買い場(800円): 配当利回り3.5%(現在から約4%下落)
- 絶好の買い場(700円): 配当利回り4.0%(現在から約16%下落)
投資金額の目安
ポートフォリオの3-7%程度を推奨
- 建設ICT分野での安定成長期待
- 高い収益性による安定配当
- 財務健全性による安心投資
まとめ:シーティーエスへの総合投資判断
3つの重要ポイントを踏まえた評価
収益性:建設ICT分野での圧倒的優位性
営業利益率26.03%は同業他社を大きく上回る水準で、建設現場のICT化という成長分野での競争優位性を示しています。自己資本比率75.4%の健全な財務基盤により、配当の持続性は極めて高い水準です。
成長戦略:10年以上の増収増益実績と構造的成長期待
公共投資やICT活用の推進により、建設ICT関連事業の拡大が期待される中、国土交通省のi-Construction政策と建設業界の人手不足解決という構造的需要が長期成長を支えます。10年以上にわたる増収増益の継続実績は、単なる一時的な成長ではなく、同社の事業モデルと市場環境の親和性を証明しており、15期連続最高益の実績は、この成長トレンドの確実性と持続性を物語っています。
株主還元:業績連動型で実質的な増配継続
**配当利回り3.37%**は高配当株として適正な水準です。同社は業績連動型配当政策を採用していますが、15期連続最高益の実績により実質的には安定増配を継続しており、3円増配を実現する配当政策は、業績成長とともに配当も成長する理想的な構造となっています。
最終投資判断:魅力的な銘柄
理由:
- 建設ICT分野での圧倒的な競争優位性(営業利益率26%)
- 17年間で売上3.7倍・営業利益8.4倍の継続成長実績
- 国策に沿った建設DX市場の構造的成長
- 配当利回り3.43%の適正な株主還元
- 極めて健全な財務基盤(自己資本比率75%)
- 営業利益率の大幅改善(11.33%→25.78%)による収益性向上
投資時の注意点
- 建設投資サイクルによる業績変動リスク
- ICT技術進歩による機器更新コスト
- 競合他社の参入による価格競争
- 景気後退時の建設投資減少リスク
- 業績連動型配当のため四半期決算の確認が必須
- 高成長は期待できない成熟市場での安定成長型銘柄
推奨投資プロファイル
最適な投資家
- 安定成長と配当を重視する中長期投資家
- 建設DX・ICT化テーマに期待する投資家
- 高い収益性と財務安定性を求める投資家
- 中小型優良株でのポートフォリオ分散を図る投資家
- 適正な配当利回りでの安定配当投資家
段階的投資戦略
- 現在水準(832円): 配当利回り3.37%でやや高値圏、様子見推奨
- 狙いたい買い場: 700-800円(配当利回り3.5-4.0%)
- 現在水準から約4-16%の下落で到達可能
- 安定成長銘柄として魅力的な配当利回り水準
- 理想的投資水準: 700円前後(配当利回り4.0%)
投資スタンス
- 投資期間: 5-10年以上の中長期保有
- 投資比率: ポートフォリオの3-7%
- 投資タイミング: 配当利回り3.5%以上での投資を推奨(現在は様子見)
株価水準について: 現在の株価832円は配当利回り3.37%でやや高値圏にあり、**配当利回り3.5-4.0%の水準(700-800円)**での投資が理想的です。17年間で売上3.7倍・営業利益8.4倍という長期継続成長実績は高く評価できますが、高成長は期待できない安定成長型銘柄のため、適切な配当利回りでの投資が重要です。業績連動型配当のため、四半期決算の動向を継続的に確認することが必要です。
シーティーエスは、構造的成長が期待される建設ICT分野での圧倒的な競争優位性と極めて健全な財務基盤を併せ持つ、17年間の継続成長実績に裏付けられた安定成長と適正な配当利回りでの投資価値が高い魅力的な銘柄です。
本記事は投資情報の提供を目的としており、投資勧誘ではありません。投資判断は自己責任でお願いします。最新の情報は会社の決算資料等でご確認ください。